2017年北海道大学大学院
地球環境科学研究院小泉逸郎
准教授らの研究グループが北海道の
十勝川流域を調査したところ夏場干上
がった小さな支流に、4カ月後の初冬には
推定1万匹を超える魚が移入していることを発見したと発表しました。
魚の中には個体の成長や
季節変化などに合わせて
生息場所を変える種類がいます。
今回調査した支流は
わずか1kmの短い水路状の河川で
こうした一見生息に不適と思われる
場所でも、多くの魚類が利用していることが明らかになりました。
このような一度干上がった
川や湖が復活する例は海外にもあります。
このページでは中東の
「アラル海」の消滅と復活
についてご紹介したいと思います。
https://twitter.com/Okino0/status/1184454477862096896?s=20
目次
消えゆく湖、消滅したといわれたアラル海にも魚が奇跡の復活?
世界には消滅の危機に
瀕している湖があります。
カザフスタンとウズベキスタンに
またがる塩湖「アラル海」です。
アラル海はかつて内陸湖として
世界第4位の面積を誇っていました。
その大きさは日本の東北
地方の面積と同じくらいです。
それが半世紀のうちに
1/10にまで干上がってしまいました。
ここまでアラル海が
干上がってしまった理由は
1950年代の旧ソ連の農業政策にあります。
旧ソ連は綿栽培のためにかつて
アラル海に注ぎ込んでいたアムダリヤ川と
シルダリヤ川の流れを人為的に変えたのです。
そのため、アラル海の
塩分濃度が上がりアラル海に
生息していた淡水魚の数が減少し
アラル海で漁業を営んでいた地元の
人々を廃業に追い込んでしまいました。
更に干上がった湖底による
砂嵐などの異常気象と、砂埃に含まれる
化学物質による健康被害に地元の人は現在でも苦しめられています。
このアラル海を巡る人為的な変化は
「20世紀最大の自然破壊」
と言われています。
スターリンの「自然改造計画」によって豊かだった湖、アラル海は干上がり砂漠化しました。20世紀最大の自然破壊と言われています。 pic.twitter.com/7utXOB3OWC
— Yasu (@yasu_yasuno_sa) October 5, 2015
そして現在アラル海復活の
プロジェクトが立ち上がり
アラル海に魚が戻りつつあります。
この一大プロジェクトについては
次の項で詳しくみていきましょう。
奇跡、アラル海の復活!?消滅したと言われたアラル海の今
アラル海は現在
- カザフスタンに属する北側の小アラル海
- カザフスタンとウズベキスタンにまたがる東アラル海
- 西アラル海
- ウズベキスタンに属するバルサ・ケルメス湖
の大きく4湖に分かれています。
そのうち、カザフスタンの
小アラル海は世界銀行などから
支援を受けて、8600万ドルのアラル海
復活プロジェクトに取り組みました。
シルダリア川が注ぐ
河口の南側にコクアラル・ダムを
建設し、2005年に完成しました。
このダムのおかげで20メートル
ほどしかなかった水深が42メートルまで
回復し、その結果湖に魚が戻りつつあります。
また、魚が戻って来たことにより
湖が近くに住む人が増えました。
他の湖などまだまだ
課題は山積していますが
アラル海は復活の糸口を見出し
問題解決へと向かっていると言えるでしょう。
自然破壊の脅威、カザフスタンアラル海は船の墓場など観光名所に
元々アラル海だった砂漠には
普通ではありえない光景が広がっています。
一面の砂漠の中に
突如として船が表れるのです。
旧ソ連時代の灌漑により
急激に干上がってしまったアラル海。
そのスピードは一晩で数百メートルも
湖岸線が後退するほどだったそうです。
そのため、いくつもの船が
なすすべなくその場に取り残され
現在は廃船となって砂漠に異様な光景を作り出しています。
20世紀最大の自然破壊と言われる、アラル海。年々縮小して、水に戻れなくなった船が、ビーチに並べられている。船の墓場とは、よく言ったものね。 pic.twitter.com/TWsvTNyeoO
— misa (@chocorace) July 21, 2014
これらのアラル海消滅による遺物は
「船の墓場」とよばれ現在では知る
人ぞ知る観光スポットとなっています。
広大な砂漠と廃船は
見る時間帯によって様相を
変えその姿が美しいと人気です。
しかし、その姿が作られたのは
人間の環境破壊によるものだと
考えると空しくもなります……。
まとめ
アラル海の干ばつは
「20世紀最大の環境破壊」と言われ
ながら、日本ではあまり知られていません。
世界的に環境破壊の
危険性が叫ばれている
今、アラル海の例は日本人
としても他人事ではありません。
アラル海の例は
環境破壊がもたらす影響の
教訓になるとともに、自然を元に
戻すことの難しさを知ることができます。
一度失ったものは戻ってこないという
ことを胸に、せめて日本人として日本の
美しい自然は守っていきたいものです。